風俗嬢の収入や動機など、初の報告書が出たがその内容の信ぴょう性は?

風俗部ニュース PR

風俗部ニュース
 性風俗業界で働く女性のセカンドキャリア支援に取り組む一般社団法人「GrowAsPeople」(GAP、東京都)は、女性たちの収入や働き始めた動機などを尋ね、初の報告書「夜の世界白書」にまとめた。 20代初めまでは月の約半分働いて、手取り80万円以上と高収入だが、年を重ねるごとに激減。多くが将来に対して漠然とした不安を感じており、職業についても「誰にも知られたくない」と考えていることが分かった。 調査は2015年4月~16年3月に実施。ホテルなどで客と会う無店舗型風俗店(デリバリーヘルス)で働く女性ら377人から有効回答を得た。 出勤して客から指名があり、働いた「実働日数」は1カ月平均11.8日で、平均月収は43万995円。年代別では、18~22歳が1カ月に16日働き、81万9200円を得て、ともに最多だった。だが、平均月収は加齢とともに急降下。43歳以上では18万2000円に落ち込んだ。 働き始めた動機(複数回答)は、生活費が96人で最多だった。学費、奨学金や借金の返済、娯楽費も含めた経済的な理由は延べ215人。「なんとなく」始めた人も47人いた。うち22歳以下が3分の1を占め、若い世代の多さが目立った。GAPによると、多くの業者がインターネットでの求人広告に力を入れており、誰でも簡単に「短時間、高収入」をうたう求人情報に接することができるため、若い世代が業界に入ることへのハードルが下がっているとみられる。 GAPでは、相談者は原則3カ月間のインターン経験後、面接指導や履歴書の添削など転職支援活動を行う。12~16年度、性風俗業界で働いていた女性37人が他の仕事に就いたという。GAPのメールアドレスは([email protected])。【福島祥】 (出典:毎日新聞)
こういったアンケート調査をする場合、気をつけなければならないことがある。 それは、質問のしかたによって、回答結果が変わるということだ。 「調査は2015年4月~16年3月に実施」とあるだけで、どうやって調査したのかまったく書かれていない。 無店舗型風俗店で働く女性377人から有効回答を得たというが、どうやってデリヘル嬢にアンケートしたのか。 アンケートの文言によっては、回答を誘導することにもなりかねないので、そこが気になるところだ。 まさか街角で女性にひとりずつ声をかけて、「あなたはデリヘル嬢ですか」と聞くわけにはいかない。 だとすると、どこかのデリヘル店に行って調査したのだろうか。 普通に考えて、それ以外に377人ものデリヘル嬢から有効回答を得る方法はないと思われる。 デリヘル店に行って調査したとすると、アンケート用紙を渡してその場で書かせたのか、あとで用紙を回収したのかによって、書く内容が違ってくる。 あとで回収するのだと、デリヘル嬢どうしが「何て書く?」と相談しあって、無難な回答を書こうとする可能性があるからだ。 また、アンケート結果は、調査した店によっても違ってくる。 この記事のアンケート結果では、若いデリヘル嬢は収入が多く、年齢とともに収入が激減するとある。 しかし、風俗には「熟女風俗」というジャンルもある。 そういった店なら、年齢が高いと稼げないということはなく、むしろ40代以上のほうが高収入のはずなのだ。 記事を読むと、「377人もの女性に回答を得た結果だから間違いない」と自信を持っている感じがうかがえるが、別の調査をしたら違った結果が出るのではないかという気がしてならない。 もっと気になるのは、もしかするとこのアンケートは、ネットで行ったのではないかということだ。 どうアンケートしたのか書いてないので、その可能性も否定できない。 もしネットのアンケートだと、それこそ誰かが面白半分に回答したものも含まれていると見るべきなのは言うまでもない。 そうなると、このアンケート結果は、アンケート方法を詳細に開示しない限り、きわめてあいまいなものでしかないことになる。 また、記事の書き方にも「誘導」を感じる部分がある。 働き始めた動機の部分で、「娯楽費も含めた経済的な理由」とあるが、「経済的な理由」という場合、普通は生活のために欠かせないお金だけを指すはずなのだ。 そこに娯楽費を含めたのでは、それはもう一般的にいう「経済的な理由」とは別のものになってしまう。 記事では、「なんとなく」デリヘル嬢を始めた人が若い人に多い理由を、ネットの求人広告に結び付けているが、本当にそうだろうか。 筆者は仕事と趣味を兼ねてアダルトサイトをかなりの時間閲覧しているが、風俗嬢の求人広告はほとんど見たことがない。 確かに風俗嬢の求人広告はあるにはあるが、それはネットをやっていれば自然と目にするようなものではなく、風俗嬢の求人を探そうとして検索しないと見れないものなのだ。 だから、風俗嬢に関心のない女性がたまたまネットで求人広告を見て興味を持ったというのは、どちらかというときわめて稀なのではないだろうか。 言い出せばキリがないのだが、このアンケートにはもっと根本的な問題がある。 風俗店には、風俗嬢がお客にプライベートな質問をされたときのために、「模範回答集」を用意してある店が多いという。 つまり、「彼氏いるの」とか「どうして風俗嬢をしてるの」といった質問をされたときのための回答集というわけだ。 この中で、なぜ風俗嬢になったのかと聞かれたときの「模範解答」が、「学費のため」「借金返済」「生活のため」なのだ。 もし風俗嬢が、「遊ぶ金が欲しいから風俗嬢になった」などと答えたら、お客だって面白くないに違いない。 だから、お客が喜ぶような模範解答が用意されているのだが、それをアンケートでも答えているのではないかという疑問が生じてくる。 そうなると、学費や生活費と答えた回答の数字は、当然ながら疑ってかからざるを得なくなるのである。 また、もうひとつ問題があるのだが、見方によってはこれが一番大きな問題かもしれない。 このアンケートは有効回答が377人だというから、実際はそれよりずっと多くの人にアンケートしているわけだ。 その結果、有効回答をくれなかった女性もたくさんいる。 では、有効回答をくれなかったのはどういう人なのだろうか。 これは想像するしかないのだが、「今の自分の生活に何ら問題ない人」が、有効回答をくれなかった人の中に多くいるのではないだろうか。 何ら問題ないとは、自分が風俗嬢であることを悩んでもいないし、稼ぎも十分にある女性のことだ。 そういう人は、このような「風俗嬢を救済したい」という趣旨が見え隠れするアンケートには興味を持たないと思われる。なぜなら、自分にとって重要な問題ではないからだ。 だから有効回答もしない。 では、このアンケートを重要と考えるのはどういう女性かというと、「風俗嬢であることを悩んでいる女性」や、「思うように稼げない女性」ということになる。 こういう人が、有効回答をくれた人の中に多いのではないかということは、容易に推測できる。 つまり、このアンケートの有効回答者は、平気的な風俗嬢といえるのかというのが問題点なのだ。 言い換えると、これはある方向に片寄った風俗嬢の意見だけが、強く反映されたものではないかということである。 筆者はGAPの活動に異議を呈するものではない。 むしろ素晴らしい取り組みだと思っている。 それだけに、あいまいなアンケート結果の公表はいささか残念な気がしてならない。 GAPの転職支援の結果、風俗で働いていた女性37人が他の職業に就いたというが、その後37人がどうなったか、GAPでは追跡調査をしているのだろうか。 もしも、彼女たちがまた風俗に戻るようなことがあれば、GAPの活動は何も実を結んでいないことになってしまうのだが、果たしてどうだろうか。